篁山竹林寺縁起絵巻(同寺蔵) 4/27 画像をクリックすると拡大します
あらすじ
時は5月半ば、寺からの帰りに竹田村の竹林を通りかかった八千代は俄に戯れ心を起こして、生え出ていた竹の子に嫁ぎを為し、和歌一首を詠んで別れた。 「短夜の名残ぞ惜しきしののめのさがなきことを人に語るな」。
比者五月半事、竹田村云處在竹林、其邊立-寄而俳?、笋子不知幾数多生出鳧、有八千代俄戯之心哉、此竹子為嫁立_歸時、惜別-離名残、一首哥詠云、美之賀與能奈古利曽於新幾志乃乃免野左哥那記古登遠飛登仁賀多留南云捨、而歸-侍
篁山竹林寺を知るためのキーワード 1.出生
小野篁は、一生不犯の女性が竹林の筍と交わって誕生した、とする説話。友久武文氏はこの篁の誕生について「ある人物が筍子と処女の間に生れたという古い文献資料は知らない。これだけは口碑に基づくものとしなくてはならない」(『瀬戸内寺社縁起集』解説)とされた。一方、小峯和明氏「竹から生まれた篁」(奥津春雄編『日本文学・語学論攷』所収)は、伊達文庫本『歌行詩』注に類話の存在を指摘して友久氏説に修正を加えている。『篁山竹林寺縁起』の中で最も特異な説話の一つであり、この縁起の研究においては常に顧みられるべき課題であろう。 なおこの篁出生説話については、『篁山竹林寺縁起』の年代提示の矛盾から、この説話だけが後に補われたものであるとする森下要治の説もある(「小野篁の誕生―篁山竹林寺縁起を読む―」、稲賀敬二氏編『平安王朝の文学―一条朝の前と後―』所収)。
(c) 広島大学附属図書館 2003