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はじめに

 今中文庫は、広島大学名誉教授故今中次麿博士(一八九三〜一九八〇)旧蔵の約千八百点からなる資料群です。今中博士は昭和三十二年に広島大学を御退官の後、昭和五十年に今中家秘蔵の資料を、一括して当時の広島大学図書館(中央図書館)に寄贈されました。御寄贈いただいた資料群は、現在和装資料室(一部は貴重資料室)に大切に保管されています。
 今中家は、代々広島藩士として仕えた名家で、特に今中相親(一七八四〜一八五七、後に大学と称する)は、文政五年(一八二二)に年寄に任じられ(弘化三年《一八四六》には年寄上座に昇る)、以後、安政元年(一八五四)に年寄を退くまで、当時財政破綻の危機に瀕していた藩財政の立て直しに尽力しました。
 今中文庫には、上級藩士の諸役勤務心得や、近世中期以降を中心とした藩主浅野家の慶弔行事並びに今中詰め所の記録が多数みえます。また、兵学や礼法、文芸関係の和装本も 多くの点数を数え、バラエティに富んだ内容となっています。
 さらに、今中相親が、文化四年(一八〇七)から安政四年(一八五七)まで、五十年に渡って書き記した直筆の『今中大学日記』は、近世後期の広島藩政史を研究する上での第一級の史料です。
ここでは、今中文庫の資料群の内、主なものを画像と解説で示します。近世後期の広島藩と今中家の世界に触れてみてください。


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